情報科学と人工知能のノート

初等的な知識から最新論文の解説まで色々集めていきます.備忘録兼用.

引き続き統計を勉強中

引き続き統計学について勉強しています。
今回も数学関連の書籍を紹介。
もう少し色々理解したら、かなり重要なのにネットに証明が全く無いような定理について解説を書こうと思います。

 

統計科学の基礎(白石高章 著)

前回紹介した「意味がわかる統計解析」が数学の専門家ではない人向けの統計の入門書の良書であるのに対し、この本はこれから統計の専門家になろうとしている人向けの良書であると思います。
まず、普通の入門書にも載っているであろう確率と統計のトピックに加え、この本ではそれらを説明するために必要な集合、線形代数、微積分などに関する定義や定理についても詳しい解説が記述されているため、入門書として一冊で完結しているところがとても良いです。
また、一つ一つの定理や補題について証明の行間が丁寧に埋められているため、順を追って読んでいけば全て理解できるのも特徴でしょう。
欠点を挙げるとすれば、他の専門書と同様、統計はなんのために使う道具なのかと言うことに関してはあまり触れられていないことが挙げられますが、数式や証明をばっさりカットして「統計とはなんなのか」を述べている本の次に読む本としては、この本がおすすめです。

 

数学シリーズ 数理統計学 改訂版(稲垣宣生 著)

私が学部生のときの統計の授業では、この本が教科書として指定されていました。
Amazon のレビュー等でも同様の意見が述べられていますが、今改めて読んでみると、はっきり言ってこの本は入門向けの構成ではありません。
ただし、色々分かった後で辞書的に使うには良いのではないかと思います。
初学者向けのつもりで書かれたのにそれができていないことの副作用的な長所とでもいうのでしょうか、本当に入門者向けの本では省略されていることがこの本では書いてあるのが良い点です。
普通は痒いところに手をのばすために発展的な本を読んでも難しすぎて何もわからないことが多いですが、その点この本は易しくもなくしかし死ぬほど難しくはないという難易度であることがたまたまうまく作用しています。
個人的には回帰分析の回帰係数の検定についてきちんと証明が書かれているところが良かったです。
ただし、あくまでも入門者向けではありませんので、一緒に色々買うならともかく、ただ一冊の入門書として買ってはいけません!

 

線形代数(長谷川浩司 著)

確率統計を勉強していると他の分野の知識も必要になるため、せっかくなのでそちらも改めて勉強しています。
線形代数は、高校生・大学生が学ぶ数学の一分野の中でなんのために使うのかが最も分かりずらい分野だと思います。
高校レベル大学受験レベルの参考書を除けば、例や説明を書かずにただひたすらに定義定理証明定義定理証明を続けていくだけの本や授業しかありません。
一方この本は、とにもかくにも定義や定理の意味を説明することに注力しています。
元々代数学と言うのは物事の抽象構造を捉えるためのものなので限界はありますが、行列式固有値などがどういう役割を持っているのかなど、線形代数の意味がわかるようになります。
ただし、ところどころ論理展開がいい加減で何を言っているのかわからないところもあるので注意が必要です。